読みました。理解はしていない。
今回は自分用のまとめというかメモというか。
(説明文)
ゲノム医学は、ヒトゲノムの諸特徴を利用することで人類が直面しつつある問題に正しく対処し、持続可能な医療の実現を期待して創始された新しい学問分野であり、遺伝的統計学は定量的側面からその根幹を支えている。定量的な遺伝学は、1900年代の初めから数々の研究者たちによって高度な理論体系として完成されたが、ここ20年間で行われたヒトゲノム解読プロジェクトをはじめとした多くの関連プロジェクトの成果は、この理論体系の意味するところについて具体的理解を可能にし始めている。
本書は、そのような集団遺伝学・進化遺伝学や量的遺伝学・遺伝疫学に基づき、ヒトの複雑でありふれた疾患や形質に関する、ゲノム医学のための遺伝統計学を紹介する。古典的な遺伝数理の概念のみならず、昨今のゲノムビッグデータ解析にも言及し、ヒトゲノム解読やヒトゲノム多様性研究、ゲノムコホートに代表される現代的なゲノム医学研究について、定量的側面と定性的側面の両方から迫っていく。
で、大枠を追った浅いまとめ。章ごとに。
※ 仮定と断定が混ざっている、、、
- 自然淘汰だけで実際の集団に観察される遺伝的多様性を説明することは難しいが、中立説(遺伝的浮動)を考えることで説明が可能になる。
- ①人類はこれまでの進化において、長期にわたり小サイズの集団で存在したため、遺伝的浮動が自然淘汰よりも強く作用し、有害な突然変異が除かれず高頻度に達している。②更に、ここ200年の人口爆発によって、人類集団は膨大な数の突然変異をヒトゲノムに新たに導入した。
- ヒトゲノムには多数の有害な塩基バリアントが蓄積されており、人類は遺伝的にかなり脆弱な生物種なのかもしれない。ヒトの健康問題にかかわる遺伝的荷重の分子的基盤を(ときには環境要因から解きほぐして)解明するためには、慎重な戦略構築が必要になるだろう。
- その戦略構築の基礎として、ヒトゲノムに含まれる遺伝的多様性(DNA塩基バリアント)を定量的に予測する。中立仮定の下で、人類のゲノム中に含まれる塩基バリアントの総数とその頻度分布が推計できる。※ゲノムの遺伝的多様性を測る2つの統計量:平均塩基多様度πとWattersonのS
- 前章の予測を基礎として、人類集団のDNA塩基バリエーションは、実際に種々のレベルで実験的に収集されている(①ヒトゲノム解読プロジェクト、②SNP・HapMapプロジェクト、③次世代シークエンシング(NGS)解析による1000人ゲノムプロジェクト)。結果として、5%以上の頻度を持つコモンな塩基バリアントは殆どが取り尽くされたが、5%以下のものについては低頻度になるほど実験的エラーが混入し、判別が難しい。
- 次に、ヒト疾患や形質の遺伝性について考察すると、一卵性双生児でさえ、表現型は必ずしも一致せず、至るところで複雑性(非メンデル性)が出現しうることがわかる。
- 戦略構築の核の部分。SNPの頻度と、疾患や形質との関連を統計的に調べる方法として、ゲノムワイドアソシエーション解析(GWAS)がある。※GWASと、関連手法の説明:②マーカー品質管理(マーカーQC) ③サンプル品質管理(サンプルQC) ④疾患アソシエーションの統計的仮設検定 ⑤追試デザイン ⑥集団ベースの連鎖分析 ⑦メタアナリシス ⑧遺伝子型インピュテーション。→ GWASは未だ多くの点で、かなりの本質的な困難を抱えている。
- 関連解析(GWAS)で見つかったSNPは、必ずしも疾患判別精度の意味で有用ではない。しかし、CDCV仮説やCDRV仮説、遺伝子間相互作用や遺伝子環境相互作用など、多くの仮説やモデルに柔軟に対応することで、失われた遺伝率を説明し、個々人の体質や生活習慣に立脚した予防法や治療法に結びつけることが期待される。対応するデザインの1つに大規模ゲノムコホート研究があるが、データ解析面での統計的な問題点や、リスク因子が見出された後の疾患発症リスク予測にもまだ多くの難問が残されている。ヒトゲノムを解読し実際のバリアントを捕捉することが可能となった今、疾患発症に寄与するリスクバリアントの同定が、実務レベルでの最大の課題となる。
- 新たな研究動向を交えて、関連解析に用いられる統計手法について(その①)
- (その②)→ 機械学習分野のブースティング手法を用い、AUCの最大化を試みる。SNPを解析すると、判別において遺伝子型の効果は多様性に富むことが示唆された。通常判別関数の構築方法としては、SNPのリスクアレルの個数を数え上げる手法、アレルのオッズ比を足し上げる手法、遺伝子型の効果を線形関数で捉える手法が主流であり、個々の遺伝子型の効果まで詳細に考慮した研究はそれほど進んでいない。その他にもSNP間の交互作用がどのように疾患リスクと関連し、それがどのように判別精査の向上に繋がるかもまだ十分に解明されていない。
- 補講。ミーム(例えば習慣や技能、物語といった社会的、文化的な情報)と自然淘汰の関連など。
読んでみて
- 難しいというか、単に自分がこのタイプのちゃんとしたかたい本を読み慣れていない。
- 大枠でどの辺りの話をしているのか意識しないと、こちらもすぐ迷子になる。
- 小説と違い事実に誠実だから、不明な点が不明なままでずっとモヤモヤが残る。
- まあまあ苦しいけれど、そういうものか。
- 論文読むのずっとサボってたからなー。
- もう少し入門書的なものにあたってから、また帰ってくる予定。